4月/ドストエフスキー「地下室の手記」

12ヶ月連続ひとり芝居「Twelve」
第一回目「地下室の手記」無事に終わりました。見に来ていただいた皆様、ありがとうございました。

劇場に来ていただいた方にはお話ししましたが、最近は文学や詩というものが、難しいもの、古くさいものと思っている方が多いのではないかと思います。しかし僕はその文学や詩の真ん中にあるものは誰にでもわかる、多くの人の心に届くものだと思っています。

今回の地下室の手記も、その題名やドストエフスキーのイメージから暗そう、難しそうという意見が多かったですが、実際の上演をみたお客様の意見は全然違ったものでした。よくわかる、俺も同じようなこと考えてた、僕も最近まで地下室にこもってました(笑)など。昼間の回では笑いもかなり起きていましたし。

ドストエフスキー自身が生きていくために右往左往して書かれた言葉であるために、今の社会を生きている僕たちにとっても他人ごとではなく、自分自身の言葉になりうるのだと思います。僕の仕事はその言葉に書かれた状況を再現するのではなく、言葉の奥にある作家の魂をどうその場に引き出せるかだと思っています。

まだまだこれから11作品続きますが、ひとつひとつに全身全霊をささげて、いい舞台にしていきたいと思っています。今後の「Twelve」にぜひご期待下さい。

立本 夏山


【ドストエフスキー】

 

「地下室の手記」フョードル・ドストエフスキー

 

極度の自意識から一般社会との関係を絶ち、自室の小世界に閉じこもった元小官吏の手記。

意識は病気だと言い放ち、人間の本性は非合理的なものであると主張する彼の怒り、憎み、絶望の終わりなき苦悩は、

人間の深淵を覗かせる。

19世紀ロシア文学を代表する世界的巨匠ドストエフスキー(1821−1881)の転換点にして原点ともいえる独白小説。